2008年02月23日
むんじゅる節
むんじゅる節
むんじゅるー(ぶし)
muNjuruu
語句・むんじゅるー 麦藁の笠。「麦ガラ」(むぎがら)→(むん じゃら)→(むんじゅる)。発音は「むんじゅるー」と語尾を延ばす。小濱光次郎氏は「明治中期まではムンジャラ節と言った」(「やさしい琉歌集」)。
むんじゅる平笠清らものや 女童真頂にちいいせて(花染やう)
むんじゅるふぃらがさちゅらむぬや みやらびまちじに ちーいしてぃ (はなずみよー)
muNjuru hwiragasa churamunu ya miyarabi machiji ni chii ishiti (hanazumi yoo)
○麦藁平笠(は)美しいものよ! 娘の頭にちょっと乗せて (花染めは)
語句・や (詠嘆の)よ! 琉歌の多くは「や」は係助詞の「は」や「をば」の意味だが、まれにヤマト風の「詠嘆」をあらわす「よ!」の場合がある。・ちーいしてぃ ちょっとのせて <ちー。ちょっと・・する。・・しちゃう。 + いしてぃ<いしゆん 据える 置く。 ・はなじゅみ 花染め。「露草などの花で染めたもの;色は淡藍〔はな(だ)色〕・淡紅から濃紅〔緋〕にわたる。」(琉) 歌われる場合「はなじゅみ」と歌っている。古典で野村流は「ちゅらむぬや」と歌い、安富祖流は「はなずみ」と歌う。
花染め手布や前に結で 二才惚らしもの(花染やう)
はなずみてぃさじや めーにむしでぃ にせーふらしむぬ (はなずみよー)
hanazumi tisaji ya mee ni mushidi nisee hurashi munu (hanazumi yoo)
○花染め手サージは前で結んで 青年(を)ほれさせるもの (花染めは)
語句・てぃさじ 手巾 手サージ 「広げると手拭いほどの大きさの布で女性装身具;これを織ったり染めたりした女性の心がこもった布として特別の意味を持つ;それゆえ“ハンカチ”とか“手拭い”とか訳すと当を得ない」(琉) といこうことなので「手サージ」と訳す。発音は「てぃーさーじ」tiisaaji。文語では「てぃさじ」。・ めに 前で 前は「めー」。「帯の前に」と訳したものもある。 ・ふらしむぬ 惚れさせるもの
照喜納坂からやううなよ むんじゅる平笠かぶるなよ(津波古の)
てぃるきなふぃらから よーうなよ むんじゅるふぃらがさ かぶるなよ (ちふぁぬくぬ)
tirukina hwira kara yoo una yo muNjuru hwiragasa kaburuna yo (chihwanuku nu)
○照喜納坂から なあ妹(娘さん)よ 麦藁平笠かぶるなよ (津波古の)
語句・うな 「娘」と訳したが、「うない」は「兄〔弟〕からみた妹〔姉〕」(琉)。「うな」はそれを短縮したものだろう。野村流は「うない」、安富祖流は「うなよ」と歌う。・ちふぁぬく 地名の「津波古」は「ちふぁぬく」と読む。
津波古の主の前が にや打ち惚れゆんど(津波古の)
ちふぁぬくぬしゅぬめが なー'うちふりゆんどー (ちふぁぬくぬ)
chihwanuku nu shu nu me ga naa 'uchihuriyuN doo (chihwanuku nu)
○津波古のご主人様がさらに惚れるよ (津波古の)
語句・なー もう さらに。
芋のうまさや唐かんだ 米のうまさや赤地米(神酒造ての)
'んむぬまーさやとーかんだ めーぬまーさやあかじめー (みちちゅくてぃぬ)
'Nmu nu maasa ya tookaNda mee nu maasa ya 'akajimee (michi chukuti nu)
○芋のおいしい(の)は唐かんだ(芋の種類) 米のおいしい(の)は赤地米(米の種類) (神酒作っての)
語句・とーかんだ 「かんだ」は「蔓[カヅラ];かむだ『混効験集』 蔓[つる]植物;(植物としての)甘薯(の蔓)」(琉) つまり「中国のつる植物」、いわゆる「唐芋」の一種。・あかじめー 野村琉はこう歌うが、安富祖流は「とーかちめー」と歌う。・みち 神酒(みき)。
神酒造てのうまさや 白ふぇ唐かんだ(神酒造ての)
みちちゅくてぃぬまーさや しらふぇーとーかんだ (みちちゅくてぃぬ)
michi chukuti nu maasa ya chirahwee tookaNda (michichukuti nu)
○神酒造っておいしいのは 白灰唐イモ (神酒造っての)
語句・しらふぇーとーかんだ 「しらふぇー」とは「【白灰】石灰[生石灰・消石灰の総称](琉)とある。「かんだ」は「甘蔗、さつまいも」のこと。地元には「白い唐芋」という説もある。いずれにしても「しらふぇー」は不詳。
《コメント》
雑踊り、「むんじゅる」の一曲。
舞踊「むんじゅる」は「早作田節」、「むんじゅる節」、「芋之葉節」、「赤山節」「月の夜節」の4曲で構成される。
「舞踊の稲嶺が粟国島で謡われている民謡を習ってきたのを座にいた踊りの名手玉城盛重が振付けたもの」(琉球舞踊入門 宜保栄治郎)。
元は粟国島の民謡。
「てぃさじ」の所で書いたが、衣装はサージを前結びにしているから「帯」ではなく頭の前結びであろう。
囃子は踊り手が歌う。
むんじゅるー(ぶし)
muNjuruu
語句・むんじゅるー 麦藁の笠。「麦ガラ」(むぎがら)→(むん じゃら)→(むんじゅる)。発音は「むんじゅるー」と語尾を延ばす。小濱光次郎氏は「明治中期まではムンジャラ節と言った」(「やさしい琉歌集」)。
むんじゅる平笠清らものや 女童真頂にちいいせて(花染やう)
むんじゅるふぃらがさちゅらむぬや みやらびまちじに ちーいしてぃ (はなずみよー)
muNjuru hwiragasa churamunu ya miyarabi machiji ni chii ishiti (hanazumi yoo)
○麦藁平笠(は)美しいものよ! 娘の頭にちょっと乗せて (花染めは)
語句・や (詠嘆の)よ! 琉歌の多くは「や」は係助詞の「は」や「をば」の意味だが、まれにヤマト風の「詠嘆」をあらわす「よ!」の場合がある。・ちーいしてぃ ちょっとのせて <ちー。ちょっと・・する。・・しちゃう。 + いしてぃ<いしゆん 据える 置く。 ・はなじゅみ 花染め。「露草などの花で染めたもの;色は淡藍〔はな(だ)色〕・淡紅から濃紅〔緋〕にわたる。」(琉) 歌われる場合「はなじゅみ」と歌っている。古典で野村流は「ちゅらむぬや」と歌い、安富祖流は「はなずみ」と歌う。
花染め手布や前に結で 二才惚らしもの(花染やう)
はなずみてぃさじや めーにむしでぃ にせーふらしむぬ (はなずみよー)
hanazumi tisaji ya mee ni mushidi nisee hurashi munu (hanazumi yoo)
○花染め手サージは前で結んで 青年(を)ほれさせるもの (花染めは)
語句・てぃさじ 手巾 手サージ 「広げると手拭いほどの大きさの布で女性装身具;これを織ったり染めたりした女性の心がこもった布として特別の意味を持つ;それゆえ“ハンカチ”とか“手拭い”とか訳すと当を得ない」(琉) といこうことなので「手サージ」と訳す。発音は「てぃーさーじ」tiisaaji。文語では「てぃさじ」。・ めに 前で 前は「めー」。「帯の前に」と訳したものもある。 ・ふらしむぬ 惚れさせるもの
照喜納坂からやううなよ むんじゅる平笠かぶるなよ(津波古の)
てぃるきなふぃらから よーうなよ むんじゅるふぃらがさ かぶるなよ (ちふぁぬくぬ)
tirukina hwira kara yoo una yo muNjuru hwiragasa kaburuna yo (chihwanuku nu)
○照喜納坂から なあ妹(娘さん)よ 麦藁平笠かぶるなよ (津波古の)
語句・うな 「娘」と訳したが、「うない」は「兄〔弟〕からみた妹〔姉〕」(琉)。「うな」はそれを短縮したものだろう。野村流は「うない」、安富祖流は「うなよ」と歌う。・ちふぁぬく 地名の「津波古」は「ちふぁぬく」と読む。
津波古の主の前が にや打ち惚れゆんど(津波古の)
ちふぁぬくぬしゅぬめが なー'うちふりゆんどー (ちふぁぬくぬ)
chihwanuku nu shu nu me ga naa 'uchihuriyuN doo (chihwanuku nu)
○津波古のご主人様がさらに惚れるよ (津波古の)
語句・なー もう さらに。
芋のうまさや唐かんだ 米のうまさや赤地米(神酒造ての)
'んむぬまーさやとーかんだ めーぬまーさやあかじめー (みちちゅくてぃぬ)
'Nmu nu maasa ya tookaNda mee nu maasa ya 'akajimee (michi chukuti nu)
○芋のおいしい(の)は唐かんだ(芋の種類) 米のおいしい(の)は赤地米(米の種類) (神酒作っての)
語句・とーかんだ 「かんだ」は「蔓[カヅラ];かむだ『混効験集』 蔓[つる]植物;(植物としての)甘薯(の蔓)」(琉) つまり「中国のつる植物」、いわゆる「唐芋」の一種。・あかじめー 野村琉はこう歌うが、安富祖流は「とーかちめー」と歌う。・みち 神酒(みき)。
神酒造てのうまさや 白ふぇ唐かんだ(神酒造ての)
みちちゅくてぃぬまーさや しらふぇーとーかんだ (みちちゅくてぃぬ)
michi chukuti nu maasa ya chirahwee tookaNda (michichukuti nu)
○神酒造っておいしいのは 白灰唐イモ (神酒造っての)
語句・しらふぇーとーかんだ 「しらふぇー」とは「【白灰】石灰[生石灰・消石灰の総称](琉)とある。「かんだ」は「甘蔗、さつまいも」のこと。地元には「白い唐芋」という説もある。いずれにしても「しらふぇー」は不詳。
《コメント》
雑踊り、「むんじゅる」の一曲。
舞踊「むんじゅる」は「早作田節」、「むんじゅる節」、「芋之葉節」、「赤山節」「月の夜節」の4曲で構成される。
「舞踊の稲嶺が粟国島で謡われている民謡を習ってきたのを座にいた踊りの名手玉城盛重が振付けたもの」(琉球舞踊入門 宜保栄治郎)。
元は粟国島の民謡。
「てぃさじ」の所で書いたが、衣装はサージを前結びにしているから「帯」ではなく頭の前結びであろう。
囃子は踊り手が歌う。
この記事へのコメント
むんじゅる笠=麦藁の笠のことですが、数ある麦の種類の中でも特殊な麦のようです。何麦がご存じでしたら、教えてください。
Posted by むんじゅる at 2009年09月06日 22:01
むんじゅるさん
残念ながら、「麦藁の笠」とだけしかわかりません。
けれど問題意識にしておきます。
残念ながら、「麦藁の笠」とだけしかわかりません。
けれど問題意識にしておきます。
Posted by たるー(せきひろし) at 2009年09月13日 22:35
赤山芋・ アカヤモウはむんじゅる節のチラシといことですが、沖縄の民謡でいうチラシとはどういう意味でしょうか?教えて頂ければ幸いです。
琉球舞踊を踊る場合、地謡(地方;じかた、演奏する楽師のこと。ウチナーグチでは「じーうてー」と呼ぶ)の唄三線に合わせて踊りますが、その際の「チラシ」というのがあります。
例えば、かぎゃで風節の、唄に入る前部分の演奏を「いんじふぁ(出る端)のチラシ」、唄が終わった後の演奏部分を「いりふぁ(入る端)のチラシ」という、ということを聞いたことがあります。
その場合の「チラシ」とはどういう意味でしょうか。ご教示のほどお願い申し上げます。
琉球舞踊を踊る場合、地謡(地方;じかた、演奏する楽師のこと。ウチナーグチでは「じーうてー」と呼ぶ)の唄三線に合わせて踊りますが、その際の「チラシ」というのがあります。
例えば、かぎゃで風節の、唄に入る前部分の演奏を「いんじふぁ(出る端)のチラシ」、唄が終わった後の演奏部分を「いりふぁ(入る端)のチラシ」という、ということを聞いたことがあります。
その場合の「チラシ」とはどういう意味でしょうか。ご教示のほどお願い申し上げます。
Posted by 新垣文吉 at 2011年10月29日 15:44
新垣文吉さん
コメントありがとうございます。
「ちらし」についてご質問ですが、民謡の場合は二曲続けて唄う場合の後の曲を「ちらし」と呼びますが、意味は「つぃらしゅん、ちらしゅん 連れる。」から来ていると理解しています。
舞踊の場合の使われ方は、それとは違い、出羽入羽という踊り手の登場退場に「連れて合わせる」という意味で同じ言葉が使われているのではないでしょうか。
コメントありがとうございます。
「ちらし」についてご質問ですが、民謡の場合は二曲続けて唄う場合の後の曲を「ちらし」と呼びますが、意味は「つぃらしゅん、ちらしゅん 連れる。」から来ていると理解しています。
舞踊の場合の使われ方は、それとは違い、出羽入羽という踊り手の登場退場に「連れて合わせる」という意味で同じ言葉が使われているのではないでしょうか。
Posted by たる一 at 2011年11月17日 07:29
分かりやすくとてもおくわかりました。
白ふぇかんだの意味を詳しく教えて下されば幸いです。
白ふぇかんだの意味を詳しく教えて下されば幸いです。
Posted by 新城 静喜 at 2019年05月16日 11:34
新城静喜さん
コメントをありがとうございます。
本文もいくつか加筆修正しましたが、「白ふぇーかんだ」の「しるふぇー」についてはいくつか説があり断定は出来ないと思います。
小濱光次郎さんによれば
「(白っぽい唐ンム)。地元では『ハチラ』(皮白、肉黄)ではないかとの解釈と、「白南風」(南風のふく時に植えたおいしい『唐ンム』の説がある」
と書かれています。
「しるふぇー」は、私にも判断しかねます。
コメントをありがとうございます。
本文もいくつか加筆修正しましたが、「白ふぇーかんだ」の「しるふぇー」についてはいくつか説があり断定は出来ないと思います。
小濱光次郎さんによれば
「(白っぽい唐ンム)。地元では『ハチラ』(皮白、肉黄)ではないかとの解釈と、「白南風」(南風のふく時に植えたおいしい『唐ンム』の説がある」
と書かれています。
「しるふぇー」は、私にも判断しかねます。
Posted by たる一 at 2019年05月21日 11:19
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。